
昨日、起きてなんだか現実逃避がしたくなり一路横須賀へ向かった。横須賀には10年くらい前に仕事で行ったくらいだったので落ち着いて歩くのは初めてである。
それで軍港クルージングをしたりしたわけだが(※この辺はいずれ改めて)、まぁ横須賀と言ってもさほど見所があるわけでもなく、途中、喫茶店代わりに立ち寄ったハンバーガー屋さんでビール呑みながら作戦を練ってもパッとせず。

それではと店員さんに聞くも「いやー、意外とないですよ。」とのお答え。これはこの店員さんが悪いのではなく、観光に注力している街というのは「強引に作り上げた観光地」である場合がほとんどなので私も「そんなもんですよねぇ。」と返しておいた。店をあとにし、一人考える。帰るにはまだ早いし、片道一時間半もかけて来たのだから何か見つけないと収まらない。
そうとなればここからは私の得意分野である「飲み屋探し」である。とりあえず横須賀中央駅へ向かって歩く。私は過去の経験から横須賀規模の街には昼間からやっている飲み屋が必ずあるということを経験則で知っている。
こういう場合、とにかく歩くので体力勝負である。途中、それっぽい店を見つけるがどうもスナックの昼間営業みたいな店とか、「昼カラオケ」みたいな店が多い。そしてさらに歩いて一軒見つけた。入り口から中を覗くとけっこう客が入っている店を見つけた。

「そうそうこれこれ♪」
中に入ると店舗は奥行きがあり「広い」。四人がけのテーブル席が7卓、カウンターには15人くらい座れそうな店だ。すでに店内はご常連とおぼしき方たちで7割方埋まっている。
とりあえずカウンターに座り、店員のおばちゃんが飲み物を聞きに来る。私は間髪入れずに瓶ビールを頼む。こういう店では「まずは瓶ビール」が私の定石。
席に着き、ビールをコップに注ぎやっと周囲を見渡す余裕が出た。客層は地元のおじさんたちで店内で最年少は私であっただろうことはすぐ分かった。店員さん(おじちゃんとおばちゃん)が店内厨房と奥の厨房を行ったり来たりしている。とりあえず8人いることが分かった。
「へぇ~、わりと良さそうじゃん。」
当然ビールだけというわけにも行かないので何かちょっとツマミをと思い店内のメニュー表に目をやる。
「うーん、ちょっと高いな・・・。」
どうもお値段的に一人で軽く呑む値段ではないのよね。そうは言っても始まらないのでひとまずレバーフライを頼んだ。お値段500円なり。
ひとまずツマミも頼んだのであとは人間観察である。店員さんは男の人が三人、女の人が五人と言ったところ。それぞれがテキパキと仕事をこなしている。客の数も多いので注文がひっきりなしに飛び交う。どういう役割分担か知らないが、全員の動きに無駄がない。何かを指図する人がいるわけでもない。おじさんがレバニラを作っていたのでこのおじさんが調理担当かと思いきや、このおじさんがサンマの刺身を作っているときは別なおばさんがレバニラ作っている。でも、観ている限りでは「○○さん!お願い!」みたいなやりとりがあったわけでもない。
「なんかスゲーぞ!この店」
するとカウンターに座っている私の目の前でまた別のおばさんが塩辛の味見をしている。私が「それは自家製ですか?」と聞くと「ええ」との返事。レバーフライだけというのも寂しかったので。
「じゃ、塩辛一つ。」
おばさんは無言で「分かったよ」とばかりに塩辛を盛り付けはじめた。これがやたら量が多い。
「おいおい、おばさん、そんなに入れるのかよ・・・。」
まもなくして私の前にたっぷりと塩辛の入った小鉢が置かれた。

「こんなにあるのか・・・、塩辛だけで十分だったな。」
とりあえず一口食べてみると旨いんだよな。ちょっと甘めで私が作る塩辛よりは「プロが作った」みたいな味。
「なるほどねー。」
そうしている間も周囲を観察しているんだが、仕込みをやったり洗い物をしたり、調理したりと本当に店員さんの動きに無駄がない。キャベツの千切りが無くなればまた違うおばさんが調理場のおじさんに手渡したり、洗い物があれば誰それに関係なく食洗機の中に入れたりと。おじさんがナスを焼けば別なおばさんがそれを受け取って皮を剥く、そんな連携プレーが目白押しである。
実のところこういう光景を目にするのはここが初めてではない。ちょっと老舗の「大衆酒場」にカテゴライズされる店では日常的に見られる光景である。とうぜん東京にもこういう店はある。
そして私はこういう光景を目にする度に、「ドラッカーなんて読まないでこういう飲み屋で周囲を観察すれば良いのに」といつも思う。こんな飲み屋でドラッカーを極めることなんてできるわけではないが、少なくとも目の前でリアルタイムにオペレーションやマネジメントが進行している。「活字」では見えないものがたくさん詰まっている。
それに、実務では自分が当事者になるので全体を見ることはできないがここでは「観客」として眺めることができる。友人や同僚と一緒ならばその場の体験を共有することだってできる。この「共有すること」もまたマネジメントにおける重要な要素であることはご承知の通り。
---
塩辛を数回つまんだ頃合いに最初に頼んだレバーフライが出てきた・・・、が;

多いんだよ・・・。
塩辛の量で薄々感じてはいたのだが、やはり多かった。これじゃツマミを一つくらい頼むのが限度だろうな。もしくは誰かと一緒に来た方が良いんだろうな。旨いのはいいんだけどもう少しライトな感じにならんのかねぇ。
呑んだ、と言うよりは、食った、と言った感じ。
ひとまず会計をしてもらおうと思い、ふと上を見上げると;

なんだよ、そういうことかよ・・・。

